リピート率を5分で理解する|マーケ・ファネル用語集

リピート率』って、なんとなく「再購入してくれる割合」くらいで止まっていませんか?

株式会社Cameenです。本記事は当社の運用知見をもとに解説します。

この記事でわかること
  • リピート率とは「再購入率」ではなく「ある期間に購入した顧客のうち、次の期間にも購入してくれた顧客の割合」のこと
  • 本質は数値ではなく「顧客との関係が継続しているかの体温計」
  • 計測の判断軸6つ(母集団・期間・購入定義・新規/既存・チャネル・商品単位)
  • リピート率を読み違える典型3パターン
  • 当社で運用してわかった「リピート率の本音」

マーケティングの現場で「リピート率を上げよう」「当社のリピート率は◯◯%です」、こういう会話が日常的に飛び交っています。EC、サブスク、教育、コンサル、コーチング、業界を問わず「リピート率」は今や中核指標です。

では、SNSやマーケの本を開いても、リピート率を上げる施策論はあふれています。そもそもリピート率って、何をどう数えた数字ですか?「再購入してくれた人の割合でしょう?」と言われると、なんとなく分かった気になるのです。でも「分母は誰で、分子は誰で、期間は何で、購入の定義は何か」と聞かれると、答えに詰まる方が多いのです。

当社ではコンテンツビジネスの受講生に対して継続購入・複数商品購入の追跡を毎月続けてきて、「リピート率」と一言で言っても、定義の取り方で数字が2倍3倍ブレるという現実を何度も見てきました。同じ顧客データでも「期間を3ヶ月にするか12ヶ月にするか」「同一商品の再購入だけにするか別商品も含めるか」で、レポートの数字は全く別物になります。こうした課題は、多くの事業者に共通します。

もう1つ当社で繰り返し体験したのは、「リピート率の数値だけを追って、顧客の関係性そのものが見えなくなる」という落とし穴です。リピート率60%でも、実はヘビーユーザーが2割、離脱予備軍が8割というケースは普通にあります。数値の裏側にある「顧客の体温」を見ないと、リピート率改善施策は外しまくります。

今回はその「今さら聞けないリピート率」を、定義の取り方から、計測の判断軸、当社で運用してわかった本音まで、一気に深掘りしていきます。読み終わる頃には、自分の事業のリピート率をどう測ればいいか、紙に書き出せるレベルになっているはずです。

目次

結論:リピート率は「再購入率」ではなく「顧客関係の体温計」

結論

リピート率は、よく「再購入してくれた顧客の割合」と説明されるんですが、これだとリピート率の本質が見えません。本当の意味はもっと別のところにあります。

リピート率の本当の正体は、「ある期間に購入した顧客のうち、定めた次の期間にも購入行動を取ってくれた顧客の割合を通じて、顧客との関係が継続しているかを測る『体温計』」のことです。単なる再購入の比率ではなく、事業と顧客の関係性が生きているかどうかを定点観測する指標、というのが本来の役割です。

計算式自体はシンプルで、「リピート率 = 期間内のリピート顧客数 ÷ 母集団顧客数 × 100」。例えば、1月に購入した顧客が100人、そのうち2〜3月にも購入した顧客が30人なら、リピート率は30%、こうなります。式は1行で書けるんですが、ここで言う「母集団」「リピート」「期間」の取り方で、数字は別物になります。

業界の体感として、EC・物販ではリピート率20〜40%が標準、サブスク型では月次継続率90%超が目標、教育・コーチング系では年次の継続購入率30〜50%が標準的なレンジです。事業モデル・商品単価・購入頻度で、健全レンジは大きく異なります。「リピート率50%は良いか悪いか」という問いに、業界横断の答えは存在しません。

リピート率の真の価値は、数字そのものではなく「同じ定義で定点観測したときの変動」を読むことです。今月45%、先月47%、3ヶ月前50%、こういう推移を見て初めて「顧客との関係が冷えてきている」「ある施策が効いた」が判断できる。1時点の数値は意味を持たず、継続観測の中ではじめて意味が立ち上がる指標、これがリピート率の本質です。

なぜ「リピート率」という指標が重視されるのか

もう少し深く掘ります。なぜマーケティングの世界で、リピート率がここまで重視されるのか。背景を整理します。

そもそも事業の収益構造を分解すると、「売上 = 顧客数 × 平均購入回数 × 平均単価」、こう書けます。この中で「平均購入回数」を支配しているのがリピート率です。新規顧客獲得コスト(CAC)が上昇している現代では、既存顧客の購入回数を増やすほうが、新規獲得より圧倒的に費用対効果が高い。これがリピート率重視の構造的背景です。

業界で語り継がれる経験則として「新規顧客の獲得コストは既存顧客維持コストの5倍」という1:5の法則があります。1990年代の米国マーケティング業界で観察された経験則で、現代でも基本構造は変わっていません。新規ばかり追いかける事業は、CAC高騰の波に飲まれます。リピート率を見るのは、収益構造の重心を既存側に置く意思決定です。

もう一つ、リピート率が重視される理由が「LTV(顧客生涯価値)との連動」です。LTVは「平均購入単価 × 平均購入回数 × 平均継続期間」で計算されるんですが、この3変数のうち2つ(購入回数・継続期間)を直接動かすのがリピート率。LTVを上げたい人は、必ずリピート率を経由します。

業界の体感として、サブスク型ビジネスの台頭でリピート率の重要度がさらに上がりました。NetflixやSpotifyに代表されるサブスク型は、初月の獲得より「2ヶ月目に残るか」のほうが事業の生死を分けます。サブスクKPIで「Month-2 Retention」が最重要視されるのは、リピート率の派生指標です。

近年は、データ基盤の整備でリピート率の定点観測がやりやすくなりました。10年前はExcelで月次集計するのが普通でしたが、現在はShopify・BASE・Stripe・MyASPなどの管理画面で、リピート率が自動算出されます。手間ゼロで数値が見えるからこそ、定義のブレに気づかず誤読する事故も増えました。

業界の進化として、リピート率は「マーケ部門の指標」から「経営の指標」に格上げされてきました。10年前はマーケチームが追う数値でしたが、現在は経営会議で月次レビューされる中核KPI。リピート率の推移を経営判断の起点にする会社が、業界の標準になりつつあります。

リピート率の現場で何が起きているか

リピート率の計測現場で、具体的に何が起きているか。5段階で整理します。

段階1:母集団の定義と切り出し

計測の最初は、母集団(分母)を切り出すところから始まります。「1月購入者」「2024年第1四半期購入者」「初回購入から6ヶ月以内の顧客」、こういう時間軸と条件で母集団を定義します。ここがブレると、その後の全数値がブレます。

当社の事業の体感としても、母集団の取り方は最重要工程。新規顧客だけでリピート率を見るのか、既存も含めた全体で見るのか、これで意味が全く違います。新規限定のリピート率は「商品の本質的な魅力」を測り、全体リピート率は「ブランド全体への愛着」を測る、というように役割が分かれます。

段階2:観測期間の設定

次に、リピートを観測する期間を決めます。「1ヶ月以内」「3ヶ月以内」「6ヶ月以内」「12ヶ月以内」、商品の購入サイクルに合わせた設定が必要です。化粧品の単品リピートなら3ヶ月、教育商品なら6〜12ヶ月、こういう感覚値で決まります。

当社で運用してきた感覚として、観測期間を短く取りすぎると数値が低く見え、長く取りすぎると数値が高く見える、というバイアスが必ず発生します。「当社のリピート率は80%」と聞いて12ヶ月観測だったら、3ヶ月観測した別の事業の20%と比較してはいけません。期間揃えなしの比較は無意味です。

段階3:リピート行動の定義

続いて「何をもってリピートと数えるか」を定義します。同一商品の再購入だけか、別商品も含めるか、無料セミナー再申込も含めるか、定義はバラバラに作れます。事業の意図に合わせて選びます。

当社では、無料コンテンツ受講→低価格商品→中価格商品→高単価商品、こういう階段構造があるので、「次の階段商品に進んだか」をリピートと定義することが多いです。一方、単品EC事業なら同一商品再購入だけを数える、こういう定義になります。事業構造で定義が決まる、ここがミソです。

段階4:数値算出とレポート化

母集団・期間・行動の定義が決まったら、実際の数値を算出します。ShopifyやBASEなら管理画面で自動表示、独自カート・教材販売なら売上データから手動集計、こういう経路です。集計頻度は月次が標準で、四半期で傾向を見ます。

レポートでは、単月の数値だけでなく前月比・前年同月比・過去6ヶ月推移、これらを並べて表示します。1時点の数値だけ見ると判断を誤るので、定点観測グラフを作るのが業界標準です。Google Sheets・Looker Studio・Tableauが定番ツール。

段階5:変動要因の特定と施策連動

数値が出たら、変動の理由を特定します。「先月キャンペーンを打った」「商品ラインナップを変えた」「メルマガ配信頻度を変えた」、こういう施策の影響をリピート率の変動と紐付けます。仮説検証のサイクルです。

当社で運用してわかったのは、リピート率は「単一の施策」では動きにくく、「商品設計・販売後フォロー・コミュニケーション」の総合体で動く、という現実。1施策だけ変えてもリピート率は5%も動かないことが多く、複数施策の重ね打ちで初めて10%以上の変動が起きます。短期的な単発施策に期待しすぎないことが鉄則です。

身近な話で全体像をつかむ

ちょっと身近な話で、全体像を掴み直しましょう。

近所のパン屋さんに置き換えてみます。あなたの家の近くに、できたばかりのパン屋さんがあります。先月そのパン屋に、初めて来店した新規客が100人いました。今月、そのうち何人が再来店してくれたか。これがリピート率の本質的なイメージです。

仮に、先月の新規100人のうち、今月再来店したのが30人だとします。リピート率は30%。これは「悪い数字」でしょうか?それとも「良い数字」でしょうか?答えは、何とも言えません。パン屋の隣接住民100人に対する30%なのか、車で来た遠方客100人に対する30%なのか、状況によって全く意味が変わります。

もう一歩踏み込んで考えます。再来店した30人の中身を見ると、毎週来てくれる常連が5人、月1回来る人が15人、たまに来る人が10人、こういう分布だとします。リピート率という1つの数字では、この内訳が見えません。「30%」という表面だけ見て安心しても、実は支えているのは常連5人だけで、残り25人は揺らいでいる、こういう状況は普通にあります。

パン屋さん視点で見ると、リピート率を上げるために何をするか。新商品を出す、ポイントカードを作る、SNSで日々の焼き上がりを発信する、近所のお客さんに名前を覚えて挨拶する。施策は無限にあります。でも、どれが効くかは「お客さんが何をきっかけに来てくれているか」を知らないと判断できません。リピート率を見るだけでなく、その裏側の「なぜリピートしているか」を聞きに行く動きが必要です。

これ、まんま事業のリピート率と同じ構造です。数字を眺めているだけでは、何も改善できません。「リピートしてくれた人は、何が決め手で再購入してくれたか」「リピートしなかった人は、何が引っかかって離れたか」、この2つを聞きに行く動きとセットで、リピート率は初めて経営指標として機能します。

当社でも、リピート率の数字を見るだけの月と、受講生に「次の商品に進んだ決め手は何でしたか」「進まなかった理由は何でしたか」を直接ヒアリングする月では、その後の打ち手の精度が全く違いました。数字は問いの入り口、ヒアリングは答えの出口、こういう関係です。

リピート率を読み解く6つの判断軸

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リピート率を計測するときは、必ず6つの判断軸で定義を確定させてから集計します。1つでも曖昧だと、出てきた数字は他のレポートと比較不能になります。

軸1:母集団(誰を分母にするか)

「特定月の購入者全員」「特定月の新規購入者だけ」「初回購入から特定期間内の顧客」、母集団の切り出し方は何通りもあります。新規限定で見ると商品魅力を測れ、全体で見るとブランド全体の継続性を測れます。

当社で運用していて重要だと思うのは、母集団を1度決めたら、そこから半年は変えないことです。途中で定義を変えると、前月比・前年同月比が無意味になります。月次レポートで母集団定義を必ず明記して、再現性を担保するのが基本です。

軸2:観測期間(いつまで追いかけるか)

「次月の1ヶ月以内」「3ヶ月以内」「6ヶ月以内」「12ヶ月以内」、観測期間の取り方で数値は2倍3倍変動します。商品の自然な購入サイクル(食品なら1〜2週間、化粧品なら1〜2ヶ月、教育なら3〜6ヶ月)に合わせた設定が必要です。

当社では、コンテンツ商品の自然な学習サイクルが3〜6ヶ月なので、6ヶ月リピート率を主指標、12ヶ月リピート率を補助指標として運用しています。短期1ヶ月のリピート率は意味を持たないので追いません。商品特性に合わない期間設定は、ノイズしか生みません。

軸3:購入の定義(何をリピートと数えるか)

「同一商品の再購入」「ブランド内の任意商品購入」「定額以上の購入」「無料登録も含む全関与」、リピートの定義は事業意図で変わります。EC物販なら同一商品再購入、教育・サブスクなら別商品も含めた継続関与、こういう棲み分けです。

当社では、コンテンツビジネスの階段構造(無料→低価格→中価格→高単価)に合わせて、「次の階段商品に進んだか」をリピート定義にしています。同一商品の再購入を待つと、事業の伸びを正しく測れないからです。階段型事業ではこの定義設計が決定的に重要です。

軸4:新規/既存の区別

母集団を新規だけにするか、既存も含めるかで、リピート率の意味が変わります。新規限定で見ると「商品の入口の魅力」を測り、既存込みで見ると「ブランド全体の継続力」を測る、こういう違いです。両方並べて見るのが業界の標準です。

当社では、新規受講生の6ヶ月リピート率と、全体の6ヶ月リピート率を分けて月次集計しています。新規が下がれば商品設計を見直し、既存込みが下がれば長期フォローを見直す、こういう切り分けで打ち手が変わります。1つの数字に混ぜると、原因分離ができなくなります。

軸5:チャネル別の切り分け

「SNS経由で来た顧客」「広告経由で来た顧客」「紹介経由で来た顧客」「メルマガ経由で来た顧客」、流入チャネル別にリピート率は大きく違います。広告経由はリピート率低め、紹介経由はリピート率高め、こういう傾向は業界共通です。

当社で観測しているのは、メルマガ経由の受講生のリピート率が、広告経由の受講生より明確に高いという事実です。同じ商品を買っていても、流入経路の違いが半年後のリピート率に2〜3倍の差を生みます。チャネル別の切り分けなしで全体平均だけ見ると、施策判断を必ず誤ります。

軸6:商品単位/顧客単位

リピートを「商品単位」で数えるか、「顧客単位」で数えるかも重要です。商品単位なら「同じ商品が何回売れたか」、顧客単位なら「同じ人が何回買ったか」、視点が違います。事業課題に合わせた使い分けが必要です。

当社では基本的に顧客単位で追っています。同じ受講生が複数商品を順次購入していくケースが多いので、商品単位で集計すると顧客の継続度が見えにくくなるからです。事業モデルが「1人の顧客に複数商品」なら顧客単位、「1商品を多くの人に」なら商品単位、こういう判断軸です。

6つの判断軸すべてを定義してはじめて、リピート率の数字に意味が宿ります。1つでも曖昧だと、出てきた数字は社内会議で「で、結局この数字って何?」と詰まる結果になります。定義書を作って毎月同じ条件で集計する、これが業界の標準運用です。

リピート率を読み違える典型3パターン

当社の事業や業界事例を観察していて、リピート率の読み違えで失敗する典型パターンはこの3つに集約されます。

パターン1:単月の数字だけで一喜一憂する

もっとも多い失敗。「今月リピート率45%、先月35%だったから10%改善!」と単月の差で判断するパターン。実は季節要因・キャンペーン残響・たまたまの母集団偏りで上下しているだけで、本質的な変化ではないことが多発します。

本来は、6ヶ月〜12ヶ月の移動平均で傾向を見ます。単月の上下は5〜10%なら誤差範囲、3ヶ月連続で同方向に動いて初めて「変化」と判断します。短期で施策の成否を判断したい気持ちを抑えて、長期トレンドで読むのが鉄則です。

パターン2:平均値だけ見て顧客分布を見ない

「リピート率40%」という平均値だけ見て、その裏側の顧客分布を見ないパターン。実は超ヘビーユーザー2割と完全離脱8割で構成されていて、中間層が空洞化している、こういう構造は普通にあります。平均値は構造的な問題を隠す働きをします。

本来は、リピート回数別の顧客分布(1回購入・2回・3回・5回以上)をヒストグラムで可視化します。中間層が薄い構造なら、その層へのフォロー設計が次の打ち手。平均値の裏側を必ず見る習慣をつけることが、業界の上位プレイヤーの共通動作です。

パターン3:定義を後から変えて時系列比較する

気づかぬうちに発生する致命的な失敗。途中でリピートの定義(母集団・期間・購入定義)を変えたのに、前月までの数値とそのまま比較してしまうパターン。「先月60%、今月45%、悪化した!」と判断したけど、実は定義を変えただけ、こういう事故が普通に起きます。

本来は、定義書を作って凍結し、半年〜1年は同じ条件で集計します。どうしても定義を変える必要があるときは、新旧両方の数値を並行集計して、過去データも遡って再計算します。定義の変更履歴を残さない運用は、その後のレポートを全て無意味化します。

当社で運用してわかった本音

当社ではコンテンツビジネスの受講生に対して、継続購入・複数商品購入の追跡を毎月運用してきました。その中で見えてきた本音を3つお伝えします。

本音1:リピート率は「商品の良さ」より「販売後の関わり」で動く

当社で運用していて一番手応えがあったのは、リピート率は商品自体の良さで決まる比率より、「販売後にどれだけ顧客と関わったか」で決まる比率のほうが圧倒的に高いという事実です。良い商品を作って終わり、ではなく、買ってもらったあとに何回・どんな深さで関わったかが、半年後のリピート率を決めています。

具体的には、購入後1週間以内のフォローメール、購入後1ヶ月時点の使い心地ヒアリング、購入後3ヶ月時点の追加コンテンツ提供、こういう小さな接点を積み重ねると、6ヶ月後のリピート率が10〜20%変動します。商品力の差より、関わり方の差のほうが、リピート率の差として表面化する、これが当社の運用体感です。

本音2:「リピートしなかった理由」を聞きに行くほうが、施策のヒントが多い

リピートしてくれた人に「なぜ続けてくれたか」を聞くより、リピートしなかった人に「なぜ離れたか」を聞くほうが、改善のヒントが圧倒的に多く出ます。リピートした人は「なんとなく良かったから」と答えがちですが、離脱した人は「ここが引っかかった」「あれが期待と違った」と具体的な摩擦点を語ってくれます。

当社では毎月、購入後3〜6ヶ月で次の商品に進まなかった受講生を5〜10人ピックアップして、メッセージで「もし可能なら、進まなかった理由を1行で教えてください」とお願いしています。返信率は3〜4割、内容の8割は「忙しくて手をつけられなかった」「次の商品の必要性が見えなかった」「自分の段階に合わなかった」、この3パターンに集約されます。ここから次の打ち手が見えます。

本音3:リピート率「だけ」を追うと、新規獲得が止まる

これは当社で実際にやらかして学んだことですが、リピート率の改善に意識を集中させすぎると、新規顧客獲得の活動が手薄になります。既存顧客フォローに時間とリソースが偏り、新規流入チャネルが細る、という連鎖が普通に起きます。リピート率は中核指標ですが、唯一の指標ではありません。

当社の運用では、新規獲得数・初回購入率・リピート率の3つを同時に並べてレビューしています。リピート率が伸びても新規が細っていたら、それは事業全体としてマイナス。どれか1つの指標が突出して伸びていたら、他の指標が犠牲になっていないか必ず確認します。指標は単独で読まず、セットで読むのが鉄則です。

もう一つ加えると、リピート率はある程度伸ばすと「天井」に達します。商品特性・顧客層・市場規模で決まる上限があり、それを超えて伸ばそうとすると、無理な囲い込み施策で顧客満足度を下げる結果になります。当社の場合、6ヶ月リピート率の現実的な上限は50〜60%と感覚的に置いていて、それ以上は「拡大型施策(新規獲得・新商品展開)」にリソースを振ったほうが事業全体の伸びが大きいと判断しています。

リピート率を改善する5ステップ

ここまで読んでくださった方、お疲れさまです。リピート率を改善するための実践5ステップを置いておきます。

STEP1
6つの判断軸で定義を確定させる

母集団・観測期間・購入定義・新規/既存・チャネル・商品/顧客単位、6軸すべてを確定させて定義書を作ります。これがないまま集計しても、その後の数値は比較不能になります。最初の30分の投資で、半年分の運用品質が決まります。

STEP2
月次定点観測の仕組みを作る

定義に従って、毎月同じタイミング・同じ条件でリピート率を集計する仕組みを作ります。Google Sheets・Looker Studio・管理画面、どれでも構いません。重要なのは「毎月手間ゼロで自動算出される」状態を作ることです。手作業集計は2〜3ヶ月で必ず止まります。

STEP3
顧客分布を可視化する

平均値だけでなく、リピート回数別の顧客分布をヒストグラムで可視化します。1回購入・2回・3回・5回以上、こういう刻みで構造を見ます。中間層が薄ければそこへのフォロー設計が次の打ち手、ヘビーユーザーが薄ければ高単価商品の設計が次の打ち手、構造から打ち手が見えます。

STEP4
離脱者に直接ヒアリングする

毎月5〜10人、リピートしなかった顧客にメッセージで離脱理由を聞きます。返信率は3〜4割で十分。聞き出した内容を分類し、「商品設計の問題」「販売後フォローの問題」「顧客段階のミスマッチ」、こう分類すると次月の打ち手が決まります。数字を見るだけでは絶対に出てこない情報です。

STEP5
他指標とセットでレビューする

リピート率だけ追わず、新規獲得数・初回購入率・LTV・解約率を並べてレビューします。リピート率が伸びても他指標が下がっていないか必ず確認。事業全体のバランスを見る視点が、長期的な事業伸長の決定打です。

シンプルな5ステップですが、これをやり切る事業者は意外と少ないのです。多くは「管理画面の数字を眺める」止まりで、定義書を作るところまで踏み込まない。最初の30分の定義書作りで、その後の運用品質が決まります。

セットで知っておくべき関連用語
LTV(顧客生涯価値)
1人の顧客が事業との関係期間を通じて生み出す総売上。リピート率は LTV を構成する主要変数。
解約率(チャーンレート)
サブスク・継続課金の顧客が一定期間内に解約する割合。リピート率の裏側指標として並べて見る。
CAC(顧客獲得コスト)
新規顧客1人を獲得するための費用。CAC高騰時代に、リピート率改善の収益貢献が相対的に大きくなる。
コホート分析
同じ時期に獲得した顧客群(コホート)の挙動を時系列で追う分析手法。リピート率の精緻な計測に必須。
RFM分析
Recency(最終購入日)・Frequency(購入頻度)・Monetary(購入金額)で顧客を分類する手法。リピート率の質的理解に役立つ。

よくある質問(FAQ)

業界別のリピート率の標準レンジは?

業界の体感では、EC・物販で20〜40%(3〜6ヶ月)、サブスク型で月次継続率90〜95%、教育・コーチング系で年次30〜50%、コンサル・高単価商品で年次40〜60%が標準的なレンジです。商品単価・購入頻度・事業モデルで大きく異なります。

リピート率を上げる最も効果的な施策は?

当社で運用してきた感覚では、購入後1週間以内のフォローメール、購入後1ヶ月時点の使い心地ヒアリング、購入後3ヶ月時点の追加コンテンツ提供、こういう販売後の関わり設計が最も効果的です。商品自体の改善より、関わり方の改善のほうが効きます。

リピート率と継続率(リテンション)の違いは?

リピート率は「再購入の割合」、継続率(リテンション)は「サービスを使い続けている割合」を指します。EC・物販ではリピート率、サブスク・SaaSではリテンションが主に使われます。ほぼ同義で使う場合もありますが、業界・事業モデルで言葉の使い分けが異なります。

小規模事業でもリピート率は意味があるか?

むしろ小規模事業ほどリピート率の意味は大きいです。少数の顧客と深い関係を作ることが小規模事業の強みで、リピート率がその関係性の体温計になります。母集団が小さくても、定義を凍結して定点観測すれば、傾向は十分読めます。

事業モデル別のリピート率目安は?

業界で語られる目安は以下です。

事業モデル観測期間標準レンジ
EC物販3ヶ月20〜40%
サブスク型月次90〜95%
教育・コーチング12ヶ月30〜50%
高単価コンサル12ヶ月40〜60%

商品特性・顧客層・購入サイクルで大きく変動するため、業界平均より自社の前月比・前年同月比で見るほうが意味があります。

まとめ

では、結局リピート率とは、こういうことです。

  • リピート率の核心は「再購入率」ではなく「顧客との関係が継続しているかの体温計」
  • 本質は1時点の数値ではなく、同じ定義で定点観測した変動を読むこと
  • 6つの判断軸(母集団・期間・購入定義・新規/既存・チャネル・商品/顧客単位)で定義を凍結する

数字だけを追うのではなく、その裏側にいる顧客の体温を見にいくこと。これがリピート率の本来の使い方です。検討しているなら、6つの判断軸で自分の事業の定義を確定させるところから始めてください。

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この記事を書いた人

株式会社Cameen代表 西村温裕(Haruhiro)。2019年からコンテンツビジネスを8年運営。

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