AISCEASとは?8年運用してわかった『検索・比較時代の購買モデルの正体』と活用の正解

AISCEAS(アイシーズ)』という言葉は、マーケティングやコンテンツビジネスの現場で頻繁に使われます。しかし、その正確な意味や設計の要点まで理解されているケースは多くありません。

株式会社Cameenです。本記事は当社の運用知見をもとに解説します。

この記事でわかること
  • AISCEASとは「AIDMAの進化系」ではなく「検索・比較・共有を組み込んだ、ネット時代の購買意思決定モデル」のこと
  • 本質はファネルの図ではなく、各段階で「読者の頭の中」が動くプロセスの解像度
  • AISCEASを構成する7プロセスの分解と、それぞれで打つべき施策
  • 当社で8年運用してわかった、AISCEAS導入で失敗する典型3パターン
  • AIDMA・AISAS・AISCEAS・DECAXの違いと使い分けの全体像

マーケティングの教科書を開いても、SNSを見ても、AIDMAだ、AISASだ、AISCEASだ、DECAXだ、と購買モデルの名前ばかりが並んでます。そもそもAISCEASって、なんでわざわざ作られたんですか?AIDMAやAISASじゃダメな理由は?

なんとなくのイメージはあると思います。「Attention(注意)→Interest(関心)→Search(検索)→Comparison(比較)→Examination(検討)→Action(購買)→Share(共有)」の頭文字でしょう?と。でも、「で、その7段階それぞれで具体的に何が起きてるんですか?」「どこに施策を打つんですか?」と聞かれると、意外と詰まる方が多いのです。こうした課題は、多くの事業者に共通します。

当社で8年、AISCEASを実際の事業運用に組み込んできました。コンテンツビジネスはまさに検索・比較・共有が購買プロセスの中心になる業態なので、AIDMAやAISASでは設計が粗すぎる。AISCEASの7プロセスで読者の頭の中を分解しないと、メルマガもLPも全部ピンボケになります。話を深掘りしていくと、AISCEASの真価は「フレームの名前を覚えること」ではなく、「各プロセスで読者の頭の中が何を考えているかを言語化できること」だと、はっきり見えてきました。

今回はその今さら聞けないAISCEASを、表面的なフレーム解説ではなく、当社で8年運用してきた現場目線で、どこで何が起きてどう設計するかまで一気に深掘りしていきます。読み終わる頃には、自分のビジネスの読者導線が、AISCEASの7プロセスのどこで詰まっているか、紙に書き出せるレベルになっているはずです。

目次

結論:AISCEASの核心は「フレームの名前」ではなく「検索・比較・共有時代の購買心理の解像度」

結論

AISCEASは、よく「AIDMAの進化系で、検索と比較が加わったモデル」と説明されるんですが、これだとAISCEASの本質が見えないのです。本当の意味はもっと別のところにあります。

AISCEASの本当の正体は、「読者がスマホとPCで自分から能動的に情報収集して、比較して、買って、SNSで共有する時代の、購買意思決定プロセスを7段階で解像度高く可視化したモデル」のことです。単なるAIDMAのバージョンアップではなく、購買主導権が売り手から買い手に移った時代の購買心理を、施策設計可能なレベルまで分解したものです。

当社の業界の体感として、AISCEASの導入率は中規模以上のWebマーケティング企業で7〜8割。BtoC・BtoBともに、検索エンジン経由の流入が30%超ある事業なら、AISCEASを採用した設計の方が成果が出やすいです。AIDMAだけだとSearch・Comparison・Shareの3プロセスが完全に抜け落ちて、そこに打つべき施策が全部空白になるのです。

AISCEASより前のモデルとして、AIDMA(1920年代米国)・AIDA(1898年米国)があります。AIDMAは「Attention→Interest→Desire→Memory→Action」の5段階で、テレビCM・新聞広告の時代の購買モデル。1995年以降のインターネット普及で、SearchとShareが追加されたAISAS(電通2004年提唱)が生まれ、さらに比較・検討の精緻化を加えたのがAISCEAS(アンヴィコミュニケーションズ2005年提唱)です。

AISCEASの真の価値はフレーム名そのものではなく、「7プロセスそれぞれで、読者の頭の中が今何を考えているか、その時にどんなコンテンツや施策をぶつけるべきか」を分解する解像度です。AISCEASを使えば、メルマガ、ブログ、LP、広告、SNS、全部の施策を「7プロセスのどこを担当しているか」で整理できるのです。逆に、この視点なしで施策を打つと、同じ層に何度もAttentionだけかけて、Searchの受け皿がなくて離脱、というパターンを繰り返すのです。

なぜ「AISCEAS」というモデルが生まれたのか

もう少し深く掘ります。なぜわざわざAIDMAやAISASじゃなく、AISCEASという7段階モデルが必要になったのか。背景には、購買行動の構造変化があります。

AISCEASは2005年、株式会社アンヴィコミュニケーションズが提唱した日本発の購買行動モデル。背景にあったのは、2000年代前半に起きた「比較サイト・価格.com・口コミサイト」の急成長です。読者は商品を知ったあと、すぐに買わずに「検索→複数サイト比較→口コミ確認→検討」というプロセスを挟むようになりました。AISASだとSearchとAction(購買)の間に「比較」と「検討」が抜けていたのです。

具体的に、AISCEASの7プロセスは「Attention(注意)→Interest(関心)→Search(検索)→Comparison(比較)→Examination(検討)→Action(購買)→Share(共有)」の頭文字。Comparison(比較)とExamination(検討)を独立した段階として扱うのが、AISASからの最大の進化点です。比較は「複数候補を並べる」、検討は「自分のニーズに合うか深掘りする」、この2つは読者の頭の中で別物として動いてるのです。

当社の体感として、AISCEASの7プロセス分解が威力を発揮するのは、特に「高単価商品」「専門性が高い商品」「情報商材・教材・コンサル系」の領域です。これらは読者が買う前に必ず「他社と比較」「自分のニーズと照合」を挟むのです。比較・検討段階で何を見せるかで、最終的な購買率が大きく変わります。

近年は、AISCEASをさらに進化させた「DECAX(Discovery→Engage→Check→Action→eXperience)」や「Dual AISAS」などの派生モデルも登場してます。ただ、当社で運用してきて思うのは、AISCEAS の7プロセスでだいたいのコンテンツビジネスは設計しきれる、という実感です。新しいモデルが出るたびに乗り換える必要は、正直ないです。

業界の進化として、AISCEASは「すべての施策を7プロセスのどこを担当しているかで分類する」という運用方法が定着してきました。広告は主にAttention/Interest、SEO記事はSearch/Comparison、メルマガはInterest/Examination、LPはAction、SNSはShareといった具合に、施策を機能で分解する考え方です。施策を機能で分解すると、抜けや重複が見えやすくなるのです。

各段階で「読者の頭の中」で何が起きているか

AISCEASの7プロセスで、読者の頭の中で具体的に何が起きているか。1人称で描写していきます。これが分かると、各段階でぶつけるべきコンテンツが見えてきます。

プロセス1:Attention(注意)— 「あれ?何これ」

読者の頭の中:「あれ?なんかタイムラインで流れてきた」「広告で見たな」「友達が話してた」。意識はまだほぼ向いてない、視界の端でちらっと認識した段階です。情報量は最小で、ブランド名と一言フックしか頭に入ってないのです。

ここで売り込んでも100%スルーされます。求められてるのは「これは何だ?」と少しでも興味を持たせる0.5秒のインパクト。広告クリエイティブ、SNS投稿のフック、検索結果のタイトル、こういう「最初の0.5秒」だけが勝負どころです。

プロセス2:Interest(関心)— 「ちょっと気になる」

読者の頭の中:「これ、なんか自分に関係あるかも」「ちょっと中身見てみるか」。Attentionから一歩進んで、内容を読み始める準備ができた段階。ここで読者は「自分のニーズや課題と関係があるか」を判断します。

ここでの勝負は「読者の課題を言語化できているか」。広告のヘッドコピー、SNS投稿の1行目、ブログ記事の冒頭、メルマガの件名と1行目、ここで「自分のこと言ってる」と思わせられるかどうか。逆にここで「他人事」と感じられたら、3秒で離脱します。

プロセス3:Search(検索)— 「もうちょっと調べてみよう」

読者の頭の中:「これってどういうことだろう」「他に情報ないかな」「実際どうなんだろう」。InterestからActionの間に必ず挟まる、ネット時代の最重要プロセスです。スマホで「○○とは」「○○ やり方」「○○ 評判」と検索してます。

ここでの勝負は「読者が検索した時に、自社のコンテンツが上位に出てくるか」。SEO記事、用語解説、YouTube解説、Q&Aサイトでの回答、こういう「検索された時の受け皿」を事前に用意しておく必要があります。受け皿がないと、検索した瞬間に競合のコンテンツに流れます。

プロセス4:Comparison(比較)— 「他にもいろいろあるな」

読者の頭の中:「A社とB社、どっちがいいんだろう」「価格は?機能は?評判は?」「比較記事ないかな」。Searchから一歩進んで、複数候補を並べて並列で評価する段階。ここで読者は表やリストで競合を並べて見たがります。

ここでの勝負は「自社が比較土俵に上がっているか」「比較されたときに勝てるか」。比較サイト、レビューサイト、自社の比較記事、口コミ、すべて読者は見ます。比較段階で土俵から外れると、その後のExaminationにすら進めません。比較を意識した情報設計が必須です。

プロセス5:Examination(検討)— 「自分に合うかな、よく考えよう」

読者の頭の中:「これ自分に本当に必要かな」「使いこなせるかな」「失敗したくない」。Comparisonで候補を絞ったあと、最有力候補について「自分のニーズに本当に合うか」を深く検討する段階。一番慎重になるプロセスです。

ここでの勝負は「読者の不安・疑問・反論を、事前に解消できているか」。詳細LP、FAQ、導入事例、お客様の声、無料体験、デモ、こういう「もう一歩踏み込みたい人向け」のコンテンツが効きます。検討段階で疑問が解消できないと、購買直前で離脱します。

プロセス6:Action(購買)— 「よし、買うぞ」

読者の頭の中:「これに決めた」「カートに入れよう」「申し込みフォーム開こう」。決断はもう終わっていて、実行に移す段階。ここで詰まると最後の最後で取り逃がします。

ここでの勝負は「購買フォームの摩擦をいかに減らすか」。入力項目を最小限に、決済方法を複数用意、エラーを丁寧に、こういう細かい設計が決定打。せっかくExamination突破した読者を、フォームの不具合や複雑さで取り逃がすのが、最ももったいないのです。

プロセス7:Share(共有)— 「これ良かったから教えたい」

読者の頭の中:「これ買って良かった」「友達にも教えよう」「SNSに書こう」。購買後、満足度が高いと自発的にSNS・口コミで広めてくれる段階。これが次の読者のAttentionになる、AISCEASの循環装置です。

ここでの勝負は「Shareしたくなる設計」。購入後の体験デザイン、紹介してくれた人へのインセンティブ、SNS投稿のしやすさ、こういう「自発的に広めたくなる仕組み」を購入後フローに組み込んでおく必要があります。Shareが回り出すと、広告費が劇的に下がります。

身近な話で全体像をつかむ

ちょっと身近な話で、全体像を掴み直しましょう。

家電量販店で炊飯器を買うシーンを思い浮かべてください。読者(あなた)の頭の中で起きてることを順に追います。

朝、奥さんから「炊飯器の調子が悪い」と聞く(Attention)。「あ、そろそろ買い替えだな」と頭の片隅に置く。出勤中の電車でスマホを開き、何気なくInstagramを見てたら、新型炊飯器の広告が流れる(Interest)。「お、進化してるな」と少し興味を持つ。

会社のお昼休みに「炊飯器 おすすめ 2026」とGoogle検索(Search)。比較サイトを5〜6個見て、人気上位3〜4機種をピックアップ(Comparison)。価格.comとAmazonレビューで口コミを読み込み、自分の用途(夫婦2人、玄米も炊きたい、保温重視)に合う機種を1つに絞る(Examination)。

週末に家電量販店に行って実物を確認、価格交渉して購入(Action)。家に持ち帰って炊いてみて「美味しい!」と感動。LINEで奥さんに写真送って、ついでにInstagramにも「新炊飯器、ご飯の艶がすごい」と投稿(Share)。投稿を見た友達が「当社もそろそろ買い替えだから、機種教えて」と返信。次の読者のAttentionが発生する。

これ、まんまAISCEASです。「炊飯器」の購買だけで、7プロセス全部が動いてるのです。AIDMAだと「広告で知って→欲しくなって→記憶して→買う」の4ステップで終わってるんですが、現代の現実はもっと複雑で、検索と比較と検討が間に必ず入り、購買後のShareが次の購買を生むループになってます。

当社のコンテンツビジネスでも、まったく同じプロセスが回ってます。X投稿でAttentionを取り、note記事でInterestを引き上げ、SEOブログでSearchの受け皿を作り、比較記事でComparisonに対応し、メルマガでExaminationを支え、LPでAction、購入後の特典でShareを促す。施策ごとに「どのプロセスを担当しているか」が明確だと、抜け漏れが見えやすくなるのです。

逆に、AISCEASを意識しないでマーケしてる事業者を見ると、Attention(広告・SNS)だけで全部解決しようとしてるパターンが多いです。広告でAttentionを取っても、Searchの受け皿(SEO記事)がない、Comparisonに勝てる比較情報がない、Examinationを支えるメルマガがない、これだと広告費が垂れ流しになります。AISCEASの7プロセス全部に施策を置く、これが成果を出すための前提条件です。

AISCEASを構成する7プロセスと施策の対応

7プロセスごとに担当施策を割り振る

AISCEASの7プロセスそれぞれに、適切な施策を割り振っていく作業が、AISCEAS運用の核心です。当社で8年運用してきた中で固まった、7プロセスと施策の対応を整理します。

プロセス1:Attention(注意)担当の施策

担当施策:広告クリエイティブ、SNS投稿、YouTube動画、プレスリリース、コラボ企画。視界に入って0.5秒で「あれ?何これ」と思わせる強烈なフックが核心です。情報量より、止まる強さで勝負します。

当社の体感では、Attention担当の施策は「数を打つ」が基本。X投稿なら1日3〜5本、広告なら3〜5パターン同時運用、YouTubeなら週1〜2本。1本のヒット率は10%もないので、量で当たりを引きにいく設計です。

プロセス2:Interest(関心)担当の施策

担当施策:note記事、SNS連投スレッド、リード獲得用LP、無料プレゼント、メルマガ登録。Attention通過した読者に「自分のことだ」と感じさせるコンテンツが核心です。読者の課題を言語化する力が問われます。

当社の体感では、Interest段階で離脱を最小化するには「読者の課題を1行で言い当てる」フレーズ力が決定的。「○○で悩んでませんか?」「○○、自分だけだと思ってませんか?」みたいな共感フレーズが、Interest通過率を大きく押し上げます。

プロセス3:Search(検索)担当の施策

担当施策:SEO記事、用語解説記事、YouTube解説動画、Q&Aサイト回答、ブログ。読者が検索した瞬間に出会える受け皿を、事前に大量に用意しておくのが核心です。検索キーワードの設計力が問われます。

当社の体感では、Search担当の施策は「中長期で効く」のが特徴。1記事の効果が出るまでに3〜6ヶ月かかりますが、一度上位表示されると数年単位で安定流入が続きます。広告と違ってフロー収益ではなくストック収益。AISCEASの中で最も再現性高くROIが出るプロセスです。

プロセス4:Comparison(比較)担当の施策

担当施策:比較記事、ランキング記事、レビュー記事、口コミサイト出稿、他社との違いコンテンツ。読者が複数候補を並べて評価する瞬間に、自社が土俵に乗っていることが核心です。比較土俵から外れた瞬間に、購買候補から消えます。

当社の体感では、Comparison段階で勝つには「自社と比較するべき競合を、自社で先に並べてしまう」設計が効きます。逆説的ですが、自社が比較記事を作って競合を並べた方が、読者に「ちゃんと考えた上で選ばれた」感を与えられるのです。

プロセス5:Examination(検討)担当の施策

担当施策:詳細LP、メルマガステップ配信、FAQ、導入事例、お客様の声、無料体験、無料相談、デモ動画。比較で絞った最有力候補について、「自分のニーズに本当に合うか」を読者が深く検討するための材料を出すのが核心です。

当社の体感では、Examination段階での最強施策はステップメール。LP1枚で全部説明しようとすると情報過多で逆に決断できなくなるんですが、メルマガで7〜14日かけて少しずつ情報を出すと、読者は自分のペースで検討できます。Examination突破率が、メルマガ運用次第で大きく変わります。

プロセス6:Action(購買)担当の施策

担当施策:購買フォーム最適化、決済方法の多様化、エラーメッセージ改善、申込特典、決済直前のオファー。Examinationを突破した読者を、購買フォームの不具合や複雑さで取り逃がさないのが核心です。最後の摩擦をゼロに近づける作業です。

当社の体感では、Action段階のチューニングは数字で効果が見えやすい領域。フォーム項目を1個減らすだけでコンバージョン率が5%上がる、決済方法を増やすだけで離脱率が10%下がる、こういう微調整の積み上げが大きな差を生みます。

プロセス7:Share(共有)担当の施策

担当施策:購入後の特典コンテンツ、紹介プログラム、SNS投稿テンプレ、コミュニティ運営、レビュー投稿促進。購入直後の満足度が高い瞬間を捕まえて、SNS・口コミで広めてもらうフローを作るのが核心です。Shareが循環装置として機能すると、広告費が劇的に下がります。

当社の体感では、Shareの設計を後回しにしてる事業者がほとんどです。購入してもらったらゴール、と考えがちですが、Shareこそ次のAttentionを無料で生み出す装置。購入直後7日以内に「投稿しやすい仕掛け」を仕込めるかが、長期的なマーケコストを決めます。

AISCEAS運用で失敗する典型3パターン

当社で8年運用してきて、AISCEAS導入で失敗するパターンは、ほぼこの3つに集約されます。

パターン1:7プロセスのうち2〜3個だけに施策を集中させてしまう

一番多い失敗です。Attentionの広告とActionのLP、この2つだけに予算と労力を集中させて、Search・Comparison・Examinationの3プロセスがガラ空きになるパターン。これだと広告でAttentionを取っても、検索された時の受け皿がなく、比較土俵にも乗れず、検討段階のフォローもないため、読者がそのまま離脱します。

当社の場合は、各プロセスに最低1つは施策を置くのを必須にしてます。SEO記事10本、比較記事3本、FAQ20問、ステップメール14通、こういう最低ラインを引いて、どのプロセスもガラ空きにしないようにしてます。

パターン2:Comparisonを避けて自社の良いところしか書かない

2番目に多い失敗です。Comparison(比較)段階で「他社のことには触れない」「自社の良いところだけ書く」スタンスを取るパターン。読者は必ず他社と比較するので、自社が比較情報を出さないと、他社の比較記事だけが読者の判断材料になります。

当社の場合は、競合を堂々と並べた比較記事を自社で作ります。「当社の強み」「他社の強み」を正直に書くと、読者からの信頼が逆に上がるのです。比較から逃げると、読者は自分で勝手に他社を選びます。

パターン3:Share設計を後回しにしてリピート購買・口コミが回らない

3番目に多い失敗です。Action(購買)で終了、と考えてShare(共有)の仕掛けをまったく作らないパターン。これだと購入者がどれだけ満足してても、自発的にSNS・口コミで広めてくれないため、AISCEASの循環装置が止まったままになります。

当社の場合は、購入後7日以内に「投稿しやすい仕掛け」を必ず仕込みます。スクリーンショット用の見やすい教材設計、SNS投稿用テンプレ、紹介プログラム、コミュニティ招待、こういう仕組みでShareが回り始めると、Attention段階の広告費が大きく下がるのです。

当社で8年運用してわかった本音

当社でAISCEASを8年間運用してきて、わかった本音をお伝えします。教科書には書いてない、現場の温度感です。

本音1:AISCEASは「設計図」より「点検表」として使うのが効く

当社で最初の頃に間違ってた使い方は、AISCEASを「これから設計するための設計図」として使ってたことです。AttentionからShareまで順番に施策を作ろうとすると、量が膨大すぎて手が止まる。実は逆で、AISCEASは「既存施策を7プロセスのどれに当てはまるか分類して、抜けてるところを埋める点検表」として使うのが圧倒的に効きます。

具体的には、今やってる施策(広告・SNS・記事・メルマガ・LP)を全部書き出して、それぞれがAISCEASの7プロセスのどこを担当しているか印を付けます。すると、ほぼ確実に2〜3個のプロセスがガラ空きになってることが分かります。そのガラ空きを1個ずつ埋めていく作業が、AISCEAS運用の現実的なアプローチです。

本音2:7プロセスの中で投資ROIが最も高いのはSearch

当社で8年運用してきた中で、7プロセスの中で最もROIが高いと感じるのはSearch(検索)担当のSEO記事です。理由は、一度上位表示されると数年単位で安定流入が続くため、フロー型の広告と違ってストック収益になるから。広告は出稿を止めた瞬間に集客がゼロになりますが、SEO記事は出稿停止という概念がない。

当社の場合、SEO記事1本の作成コストは数万円〜十数万円。これが2〜3年間で数百万円分の流入価値を生むケースが多々あります。広告の場合は同じ流入を作るのに10倍以上のコストがかかるのです。ROIだけ見ると、AISCEASの7プロセスの中でSearch一択です。

本音3:7プロセスの優先順位は「事業フェーズ」で大きく変わる

これは現場で運用しないと見えてこない話ですが、AISCEASの7プロセスは事業フェーズによって優先順位がガラッと変わります。立ち上げ初期はAttention+Interestに全振り、認知が広がったらSearch+Comparisonを増強、購入者が増えてきたらExamination+Action+Shareを精緻化、という順番です。

具体的に、当社の場合は事業開始の最初の1年はAttention/Interestに80%のリソースを投下。「うち」を知ってもらう、興味を持ってもらう、この2プロセスに広告とSNS発信を集中させました。2〜3年目からSearch担当のSEO記事を本格化させ、Comparison向けの比較コンテンツを整備。4〜5年目からExamination向けのメルマガと、Share向けの紹介プログラムを精緻化していく流れです。

もう1つ重要なのが、7プロセスは全部同時に整備しようとすると絶対に手が回らないという現実。リソース配分は「今、自分の事業はどのフェーズか」で決めるのが業界の現場感覚です。立ち上げ期にShare設計を完璧に作ろうとしても、そもそも購入者ゼロだから無意味です。フェーズに合わせて優先順位を動かすこと、これがAISCEASを現場で運用するときの判断軸です。

逆に、ある程度事業が回り始めたら、最も投資ROIが上がるのは「ガラ空きになってるプロセスを1個埋める」こと。Attention・Action・Shareは整ってるのにExaminationのメルマガがゼロ、というケースは、メルマガを作るだけで購買率が一気に上がります。バランスの悪い7プロセスを整えるのが、中期で最も効く施策です。

今日から使えるAISCEAS設計5ステップ

ここまで読んでくださった方、お疲れさまです。AISCEAS運用を、明日から自分の事業に組み込むための5ステップを置いておきます。

STEP1
既存施策を全部書き出して7プロセスに分類する

広告・SNS・記事・メルマガ・LP・特典、今やってる施策を全部書き出します。それぞれがAISCEASの7プロセスのどこを担当しているか印を付けます。1施策が複数プロセスを担当する場合もありますが、「主担当」を1つ決めるのがコツです。

STEP2
ガラ空きプロセスを特定する

STEP1で分類した結果、施策がゼロまたは1個しかないプロセスを特定します。ほぼ確実に2〜3個のプロセスがガラ空きになってるはずです。ガラ空きを埋める作業が、AISCEAS運用の本番です。

STEP3
事業フェーズに合わせて優先順位を決める

立ち上げ期はAttention/Interest、成長期はSearch/Comparison、安定期はExamination/Action/Share、と事業フェーズによってリソース配分を変えます。今の自分の事業がどのフェーズかを見極めて、優先順位を決めます。

STEP4
優先プロセスに施策を1個追加する

優先プロセスに、最小単位の施策を1個追加します。SEO記事1本、比較記事1本、FAQ10問、ステップメール3通、こういう小さい単位で良いので、ガラ空きを埋めていきます。完璧を目指さず、まずは1個追加。

STEP5
月次で点検して次の優先プロセスを決める

月次でAISCEAS点検表を更新し、次のガラ空きプロセスに施策を追加します。これを継続することで、7プロセス全部に施策が揃った状態に育っていきます。1ヶ月で全部整えるのは不可能なので、月1個ペースで十分です。

シンプルですが、これでAISCEASの7プロセス全部に施策が揃った状態が、3〜6ヶ月で実現します。一気に整備しようとせず、月1個ずつのペースで、確実にガラ空きを埋めていく。これが現実的なAISCEAS運用の進め方です。

セットで知っておくべき関連用語
AIDMA
1920年代米国で提唱された購買行動モデル。Attention→Interest→Desire→Memory→Action。テレビCM・新聞広告時代の基本モデル。
AISAS
電通が2004年に提唱した日本発の購買行動モデル。Attention→Interest→Search→Action→Share。インターネット時代の初期モデル。
DECAX
電通が2015年に提唱したコンテンツマーケ時代のモデル。Discovery→Engage→Check→Action→eXperience。発見と体験を重視する。
カスタマージャーニー
顧客が認知から購買・継続利用までたどる体験プロセスを可視化した設計図。AISCEASよりも事業ごとにカスタマイズした粒度が高い。
パーチェスファネル
認知→興味→比較→検討→購買→継続の漏斗(ファネル)型で購買プロセスを可視化したモデル。AISCEASの概念的な親モデル。

よくある質問(FAQ)

AISCEASとAISASの違いは?

AISASは5段階(Attention→Interest→Search→Action→Share)、AISCEASは7段階で間にComparison(比較)とExamination(検討)が加わったモデルです。読者が「複数候補を比較してから慎重に検討する」プロセスを独立した段階として扱うのがAISCEASの進化点。高単価商品・専門性が高い商品ほどAISCEASでの設計が効きます。

AISCEASとDECAXはどう使い分けたら良い?

AISCEASは「読者が能動的に検索・比較・検討する商材」(高単価・専門性・情報商材)向き。DECAXは「コンテンツが先に発見されて、信頼関係を作ってから購買する商材」(継続課金・コンテンツメディア・ファンビジネス)向き。当社の体感では、コンテンツビジネスはAISCEAS+DECAXの両方を組み合わせるのが現実的です。

AISCEASの全プロセスを整備するのにかかる期間は?

当社の体感では、月1個ずつガラ空きプロセスを埋めていくペースで、3〜6ヶ月で全プロセスに最低1施策が揃います。完璧な精度を目指すなら1〜2年。一気にやろうとすると必ず手が止まるので、月1個ずつ着実に積み上げるのが現実的です。

AISCEASの中で最初に手をつけるべきプロセスは?

事業フェーズによります。立ち上げ期はAttention(広告・SNS)+Interest(note・無料プレゼント)、成長期はSearch(SEO記事)+Comparison(比較記事)、安定期はExamination(ステップメール)+Share(紹介プログラム)。今の事業フェーズを見極めてから優先プロセスを決めるのが鉄則です。

AISCEASの7プロセス施策ROI比較は?

当社の体感での目安です。

プロセス主担当施策ROI体感
Attention広告・SNS投稿短期で効くが継続コスト大
Interestnote・無料プレゼント中期で効く・コスト中
SearchSEO記事長期で効く・ストック型最強
Comparison比較記事意思決定直前で効く・転換率高
Examinationステップメール購買率を2〜3倍にする決定打
Actionフォーム最適化微調整で5〜10%の差
Share紹介プログラム長期でAttentionコストを下げる

事業フェーズと現状のガラ空きプロセスで優先度が変わります。

まとめ

では、結局AISCEASとは、こういうことです。

  • AISCEASの核心は「フレーム名を覚えること」ではなく「7プロセスごとに読者の頭の中を解像度高く言語化すること」
  • 本質はファネル図ではなく、各プロセスごとに担当施策を1個ずつ置く設計運用
  • 事業フェーズに合わせて優先順位を変え、ガラ空きプロセスを月1個ずつ埋めていくのが現実解

当社で8年運用してきて、AISCEASは「学ぶフレーム」ではなく「使う点検表」だ、というのが現場感覚です。今やってる施策を7プロセスに分類し、ガラ空きを埋めていく。シンプルですが、これでマーケ設計の精度が一段階上がります。試してみてください。

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この記事を書いた人

株式会社Cameen代表 西村温裕(Haruhiro)。2019年からコンテンツビジネスを8年運営。

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